人工知能がもたらす世界は幸か不幸か

人工知能の技術が発展すると,単純労働から人間が解放されるという意見がよく見られますが,それって本当に人間を幸せにすることなのか?ということを考えてみたいと思います。

そもそも単純労働は悪なのか

僕は「そんなことはない」という考えです。

単純労働から解放されて喜ぶ人たちって,そもそも単純な労働をしたくない人たちですよね。

それって,大体は経営層の人間であったり,資本家であったり,事業を起こしている人であったりと,そもそも人を使う側の人たちの意見が多数を占めているんじゃないかと思うんですよ。

でも,大多数の人間は使われる側の人間ですよね?

もちろん使われる側の人間の中にも優秀な人は沢山いますし,単純な労働はしたくないという人も大勢いると思います。

けど,そんな人たちってどのくらいいるんでしょうかね。

多くの人たちはこれといった創造性もなく,言われたことをただ淡々とこなすだけの人たちばっかりなんじゃないでしょうか。

みんながみんな創造性をもって,高度な仕事が出来る人ばかりということではないと思うんですよ。

人類の歴史を振り返ってみると,長い歴史の中で今ほど高度な仕事が求められていた時代なんてあったでしょうか。

もちろん創意工夫は常に求められて,その結果人類は発展してきたんだと思いますが,現在の高度な仕事と言われるようなものは過去にあったでしょうか。

まだ,極一部の優秀な人たちしか,その高度な仕事に適応できてはいないんじゃないでしょうか。

そんな極一部の優秀な人たちを基準において「人間はみんな高度な仕事をしろ」と言われても,大半の人は付いていけないでしょう。

僕はそう思うので,単純な労働というのはむしろある程度は存在すべきだと思っています。

単純労働の無い世界

もし仮に単純労働がなくなった世界を考えてみると,そういった人たち,つまり単純な労働しかできない人たちは何をするんでしょうか。

何をできるんでしょうか。

何の特徴もない人が急に100mを10秒で走れと言われても無理でしょう。

「もっと高度な仕事をすべきだ」というのは,これと同じことを言っているように僕は思います。

そんな世界は本当に人間にとって幸せな世界なんでしょうか。

自分にはできないような高度な仕事を求められ,でも当然そんな能力は無いのでその仕事はできるはずもなく。

現代になって,精神的な病が増えてきている原因のひとつとして,そういう影響もあるんじゃないかと思っているんですよ。

まだAIはそこまで活用が進んでいる訳でもないですが,IT技術で効率化は昔と比べるとかなり進んでいますし,その中で人間が仕事のスピード感であったり,求められる仕事の高度さに適応できていないんじゃないでしょうか。

でも,そんな世界であっても働かないと生きていけない訳なので,仕方なくみんな働かないといけない訳なんですよ。

そんな世界になることは本当に人類にとって望ましいことなんでしょうか。

中途半端な発展が最も不幸になる

ただ,よく言われるように,ベーシックインカムを実現できるレベルまで社会が発展すれば,話は変わってくると思います。

AIでも何でもフル活用して働きたい人はとにかく働き,働きたくない人や働けない人,高度な仕事についていけない人は別に働かなくてもいい。そんな世界であれば,おそらく多くの人は幸せになれるんでしょう。

現在の第三次AIブームと呼ばれる中で,どこまで技術が発達するのかは全く分かりません。

シンギュラリティが来るという人もいれば,来るわけないという人もいます。

シンギュラリティに達するには,今のディープラーニングのようなブレークスルーがまだ何回も起きる必要があるという研究者もいます。もしそうなら,当分の間はやってこないでしょう。

でも,おそらく今の産業の在り方がある程度変わるくらいには,現在のAIの影響力というのは大きいと思います。

もちろん技術は進化していくべきだし,人間も社会もそれに伴って発展していくべきだとは思っています。

でも,その進化・発展に人類全体が付いていくことができるのか,付いていけない人はどうすればいいの。

AIに携わる人間はそういったことを考えていかないといけないんだろうなと思います。

俗な表現になりますが,科学や技術はやっぱり人間の幸せのために使われるべきです。

一部の優秀な人たちが幸せになっても,残りの大多数が不幸になるようであれば,その技術は使い方を間違えている可能性があるのではないでしょうか。

現在のAI技術が発展して単純労働だけが無くなり,でもベーシックインカムは実現できないといった,中途半端な世界になってしまうようなことだけは起こって欲しくないと僕は思っています。

そんな世界の過渡期の中で,自分を含めAIに携わる人はみんな,何か力になれることがないか,出来ることはないかといったことを普段から考えていきたいと思います。

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