30代からの初めてのキャリアチェンジ - 加賀百万石ですが何か?

30代からの初めてのキャリアチェンジ

ここ最近色々と採用面談・面接を担当しているんですけど、その際に結構30代の方で尚且つキャリアをチェンジしつつ初めての転職をするという方が意外と沢山いまして、僕自身大手もベンチャーも経験していることもあって、面談というより相談レベルのことを聞かれることがよくあります。

僕としてはカジュアル面談であればそういった話もウェルカムなので全然問題ないのですが、やっぱり30代からのキャリアチェンジとなると結構怖いと思うので、その辺の参考になればと思って、僕の経験から思うことをつらつらと書いていきたいと思います。

特に、新卒入社で大手企業に入社したけど、今後本当にこのままでいいのかと悩んでいる人向けの要素が強いかなと思います。

前提:僕の経歴

まずこの話の前提がズレていたら良くないかなと思うので、簡単にですが僕の経歴を書いておきたいと思います。

【大学/大学院】

理系で大学院の修士課程までいきました。一年浪人しているので新卒入社時点で25歳です。世間一般からすると比較的悪くない大学に通っていたんじゃないかなと思います。

【1社目】

これまた世間一般で言うところでは大手に分類されるSIer(システムインテグレータ)に入社しました。最初の頃はお客様先の情報システム部門に常駐して、社内SE的なこととかあまり開発らしい開発は多くないシステムの導入みたいなことをやっていました。

その後1年ほど経って、機械学習やらデータ分析の業務に携わる機会が得られて社内の研究開発部門に異動になりました。そのままそこで3年ほど機械学習の勉強やら実装、顧客データの分析なんかをやっていました。

【2社目】

そのまま東京にずっといるものなんか違うなとか、このままずっと同じ企業に居てもいいのかとかそんなことを考え始めて、地元にあるSIerにUターン転職しました。

その企業は、これも一応世間的にはぎりぎり大手に分類される企業だったかなと思います。某大手SIerの子会社という位置付けの企業です。一応機械学習とかをやっている部門だったので、業務内容自体はそれほど大きくは変わらずに転職できました。

【3社目】

2社目のパワハラ上司に耐えかねて退職。その後現在のAIベンチャー企業に出会って入社しました。その時の転職の際に、地元では比較的有名な企業からも内定が出ていたのですが、比較的古い企業だったこともありあまり業務内容に魅力を感じなかったためベンチャーを選択しました。

その後は、機械学習エンジニア→エンジニアリングマネージャー→VP of Engineeringという形で役割が変わっていっています。

大手にいたまま埋もれていってしまっていいのか

こういう心配がある人は結構多いのではないかなと思います。特に最近は終身雇用も無理と大企業自身が宣言しているようなこともあるので、

  • 大企業にいたまま気付いたら何のスキルもないまま歳だけ取ってしまっていることになるんじゃないか…
  • スキルはあるけど、その企業の中でしか通用しないスキルしか身につかないんじゃないか…

といったようなことは大企業にいる人は一度は考えたことがあるんじゃないでしょうか。僕も以前はいわゆる大手にいたので同じようなことを考えていました。

これについては非常に良くわかります。このままここにいてもこの企業でしか使えない人間になってしまうのではないか…みたいな心配をしてしまうことも分かります。

ただ、大企業が簡単に倒産してしまうことは何だかんだそうそうないと思うので、確率的に考えるとおそらくそのまま大企業に在籍し続けるという選択肢もあるのではないかなと思います。一方で、最近は(昔からな気もしますが)大手は倒産とかは滅多に無い代わりに何だかんだリストラは結構やっているんじゃないかなと思います。そうなると、企業としては残っても自分がいずれリストラ候補になるんじゃないか、そうなった時に転職先がないのではないかと心配になったりすることもあるかなと思います。

これに関して僕の意見は、あくまでも「その企業でしか使えない人材になるのではないか」ということが心配なのであれば、正直「勉強すればいいじゃん。そして異動願いを出せばいいじゃん。」という回答が真っ先に出てくるかなという感じですね。もちろん簡単に異動できない企業もあるんだろうなとは思いますが、僕の周辺では比較的希望を出せば異動できていた人が多いような気がするので、全然無理な選択肢ではないのではないかなと思います。

もちろん、そもそもその企業では全く必要とされていないスキルに興味があるのであれば別です。その場合は、上記の心配以前の問題として、自分の興味が移り変わったので転職するということになるのかなと思います。

また、「そもそも企業がずっとあるかが心配」というパターンもあるかと思います。その場合に関してはタイミングの問題等もあるのでやや複雑になるかと思いますが、基本的には上記と同じで「普段から別のスキルの勉強もしておけばいいんじゃないか」というのが僕の意見です。倒産した時に路頭に迷わなくても済むように、業務未経験レベルでもいいから頑張れば転職できるように別のスキルを身につけておく。もしくは、同業界を普段から調査しておいていざというときはすぐに転職活動に入れるようにしておくなどでもいいかなと思います。

いずれにせよ、大手企業は意外と裾野も広いので、本当に危機感があるのであれば逆に多様なスキルを身につけられる土壌はあるのかなと思うので、それを逆に利用して色んな経験を積んでみるにがいいのではないかなと思います。

大手からベンチャーに移る恐怖

次は明らかに不安定なベンチャーという環境に移ることについてです。

やっぱり大手企業は何だかんだ安泰です。自分が使い物にならなくなるかもしれないリスクさえ受け入れてしまえば、比較的低くない確率で世間の平均よりはいい生活を送ることができるでしょう。その安泰を捨ててまで不安定な道に進むことはやっぱり怖いことかなと思います。

僕もベンチャーと地元の大手から内定をもらって、そこは結構悩みました。何だかんだ安定というのは魅力的です。ワーカーホリックという訳でもないのであれば、私生活も大事だと思うので、QOLが高いのはやっぱり大手かなと思います。

ただ、世間的にベンチャーに行くとスキルが身につくとか成長ができるとかという話も聞くので、将来的に自分の力で生きていくことを考えるとベンチャーに行くこともありなのかなと悩むことがあると思います。

そういうケースに対して僕が思うことは「怖いのなら基本的に転職・キャリアチェンジはやめておいた方がいい。ただし、何かのタイミングで追い込まれた時に自分の力を信じられるのであれば挑戦してみてもいいのではない」ということかなと思います。

やっぱりベンチャーへの転職であったり、30代くらいになってからのキャリアチェンジには何だかんだハードワークが必要なケースであったり、自分で何とかするしかないという状況が発生しやすいかなと思います。その時に、自分の決断を後悔せずに何とかやり切るしかないんだと自分に言い聞かせられることというのは重要なんじゃないかなと思います。

もう一つの観点としては、やっぱりベンチャーは先が分からないです。事業内容が数ヶ月後には変わっている可能性もあるし、大手企業に比べると人の出入りも相対的には激しいので人間関係も変わっていきます。そんな中で「先が見えないことを楽しめるか」「先が見えないことを不安だと思わないようにできるか」ということは重要なんだろうなと思います。

僕自身、今の会社に入ってから雑談で言われたことですが、「先が見えないと不安になるタイプ」と「先が見えると不安になるタイプ」がいるが、「LotFunさんは後者だよね」と言われたことがあります。

それまで自覚はしていなかったですが、言われてみると確かに僕はそのタイプかなと思います。大手企業、特に2社目にいたときは、職場や業務内容に慣れてきた時に「この生活があと数十年続くのか」とふと思ったタイミングがあって、その途端に残りの人生を生きるのが嫌になったことがありました。こういうタイプはメンタリティとしては比較的ベンチャー向きかなと思います。もちろん大手でも色んなチャレンジをしている企業はあるので、そういった環境でも全然問題ないと思いますが。

一方で、先が見えないと不安になるタイプは明らかにベンチャーには向いていないかなと思いますし、ベンチャーではなかったとしても大きなキャリアチェンジは避けるべきかなと思います。やっぱり先が見えないことの不安というのは大きいは大きいです。その不安が苦手なタイプの人にとっては正直しんどい時はかなりしんどいかなと思います。

それだけはやめておけ

ただ、そんな面談をしている中「その理由で転職を考えているのであれば、絶対やめておけ。埋もれてしまってでも大手にいた方がいい」というパターンもあったりはします。それは「最近よくネット・SNS上でよく見るインフルエンサーというものに感化されて転職を考えている」パターンです。

もちろん、熟考した上での判断なのであれば止める気はありませんが、大したことも考えずにインフエンサーのいうことを真に受けて大手はダメだ、これからは個の時代だとか考えているだけなのであれば、流石に一度冷静になった方がいいかなと思います。

人生には勢いが大事なこともありますが、結局何をしたいのか、何なら頑張れるのか、大手の待遇を捨ててでもチャレンジする価値があることなのか。そういったことはちゃんと考えてからもう一度転職すべきかを検討した方がいいかなと思います。

もちろん勢いで退職して何の専門的なスキルがないところからフリーランスになって、それでも何だかんだ生きていっている人がいることも知っています。なんせ身近なところにそういうパターンの人がいますから。

ただ、そういう場合でも、やはり何かしら犠牲にしているものもあるようです。やっぱり収入は会社員時代と比べると低いようです。銀行からの借入なんかも極端に難しくなるでしょう。人間関係も大きく変わり得る可能性があります。

そういったリスク(悪いという意味だけではなくて、振れ幅が大きいという意味)をちゃんと考慮しないでその道に突き進むのは流石に無謀かなと思います。

最後に言いたいこと

ちょっと中途半端な感じはありますが、最近30代くらいの人と話していて転職・キャリアチェンジについての不安についてよく聞かれることが多くなってきた気がするので、こんなことを書いてみました。

僕としては「先が見えないと不安になるタイプ」か「先が見えると不安になるタイプ」かという判断基準は比較的便利なんじゃないかなと思っています。これで明らかに前者だという人は正直大手企業の中で多様なスキルを積むようにして生きていく方がいいのではないかなと思います。

逆に明らかに後者だという人で、今後の人生について悩んでいる人は転職・キャリアチェンジを検討してみてもいいかなと思います。もちろん、今いる企業の中でも多様な経験を積めそうなのであれば無理に環境を変える必要はないですが。

如何せん、最終的に大事なのは、「自分の力を信じられるか」ということなんじゃないかなと思います。大手から転職して失敗しても、逆に大手に残って失敗しても、いずれにせよ大手もベンチャーも何の責任も取ってくれません。自分の人生の責任は自分で取るしかないんです。そう改めて認識した上で、自分のことをどこまで信じられるか、そして一度決めたのであれば全力で成功するように努力する、ということなんじゃないかなと思います。

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