「人工知能(AI)を活用してみたい」という企業であったり,現場の担当者の方は沢山いらっしゃると思います。
以前,大手企業のIT部門に在籍して,AI/データ分析の業務を担当していたときも,多くの現場の方からAI活用について相談されたことがありました。
ただ,AIを活用してみたいとは言うものの「具体的にどうしたらいいのかよく分からない」という意見で合ったり「どういう事例があるか」ということがよく分からないために,自分たちでAIを活用しようにもできないということが多くありました。
そのため,ここではAIの活用事例を紹介したいと思います。
もし,ここを見てみてAI活用に興味が出てきて「自社でもAIを活用してみたい」というアイディアが出てきたものの,具体的にどうしたらいいか分からない方や,そのアイディアが現実的なものなのかどうかをAIの専門家に聞いてみたいというような方は,Twitterから@py_stokes宛てにご相談ください。
※この事例集については随時更新してきたいと思います。
画像認識
例えば,コメディ劇場での使用例があります。
- 各席にカメラが付いていて,観客の顔をカメラが捉えている
- 観客が笑ったかどうかを認識して,笑った回数に応じて料金を決定する(笑った回数に応じて料金が決まる)
これは観客側の料金を決める場合ですけど,逆に使えば「観客が笑った回数に応じてコメディアンのギャラを決定する」というような仕組みも作れそうです。
実力がダイレクトに出るので,コメディアンにとってはかなりプレッシャーですがw
他には例えば農業分野で「キュウリの等級を自動的に判別する」というような事例もありますね。
音声認識
音声認識を活用した事例については,「地方自治体の議会での議事録作成」があります。
- 議会での発話を録音し,音声認識処理で書きおこしを行う
- 書きおこしたものをもとに人が議事録を作成する
これは「書きおこし」の部分をAIで効率化した事例です。ただ,書きおこしについては注意が必要です。この事例のように「音声が綺麗に取得できる状況」でなければ,音声認識の精度はあまりでないということです。
議会の場合だと,以下のような状況で録音できるため比較的精度よく書きおこしができます。
- 喋る人は常にひとりで,マイクの前に立って話すため綺麗に録音されやすい
- 言葉の表現も会話調というよりは文章に近い
- BGMや余計な雑音が少なく,余計な音声が入りにくい
でも,例えば会議室での話を録音しておいて文字おこししたいような場合は,以下のような問題があってなかなかうまく書きおこしてくれません。
- 複数の人が同時に話す
- 言葉遣いが会話調で不自然な文章になる
- いい直しや「えー」「あのー」といった意味のない言葉が多い
現在のAI技術では,このようなレベルでの音声認識はまだ厳しいと思っておいた方が良いです。
自然言語処理
自然言語処理で有名なのはやはり「Googleの自動翻訳」でしょうか。ディープラーニングを使用することで精度が飛躍的に向上しました。
あとは,ニコニコ動画などでのユーザコメントの分析などにも使用されています。このような動画サイトのコメントへの対応には以下のような問題があります。
- 動画に投稿された不適切なコメントを削除したければいけないか,コメント数が多すぎるため人が目で見て確認するのが大変
- しかし,コメントは一般的な言い回しとは違うことも多く,辞書を用いた単純な単語の検出方法では,捉えることが出来ないコメントがどうしても多くなる
そんな場合に,1文字単位で単語を認識していくディープラーニングの技術を使用することで,「辞書にはないけど不適切な可能性がある単語」というのを検出できるようになります。
そうやって自動的に怪しい単語を検出し,検出されたものを人が確認するという仕組みにしたことで,人が目で確認しないといけないコメントの数を大きく減らしたという活用事例です。