ベンチャー企業と大手企業のギャップ

今の企業に転職する前に経験してきた2社は、世間の定義でいうところの所謂大手企業に分類される企業でした。

ただ、人生をSCRAP & BUILDだ!とか本当に会社に行きたくなくなった日みたいなすったもんだが色々あって、勢いで辞めた結果現在のベンチャー企業に転職するということになりました。

最初はベンチャー企業で働くということに対して「未知の領域」というようなことで知らないことによる不安もあったはあったのですが、ベンチャーで働き始めてみて色々と大手企業とのギャップを感じるところもありました。

そろそろ3ヶ月経って会社にも慣れてきたというところで、そのギャップについてつらつらと思いつくままに書いていこうかなと思います。

ちなみに、ベンチャーといっても本当にごく少数の企業もあれば、メガベンチャーと呼ばれるような大きなベンチャーもありますし、企業によってもその文化・風習は大きく異なるところもあると思いますので、ベンチャーに就職・転職しようかなと実際に考えている場合は、あくまでもひとつの参考情報程度として扱ってください。

目次

  1. 採用に関わるようになった
  2. 入社1週間で面接官になり、最初の採用を外した
  3. 当時は学歴のせいにしたが、たぶん違った
  4. 自分を信じるしかないようになった
  5. ベンチャーに向いている人・向かない人
  6. 学び続ける姿勢は要求される
  7. まとめ

1. 採用に関わるようになった

大手企業にいる場合は、技術職でいると採用活動にかかわる機会というのはなかなかないのではないかと思います。

もちろん、リクルータや面接に来ている面接者とフランクな会話をするようなケースはあるかと思いますが、決定権を持って採用に関わるということはなかなかないのではないかと思います。

私も過去2社においては当然そうだったのですが、今の企業に就職してからは主に面接官として採用活動にずっと携わっています。

中でも驚いたのは、入社して1週間後にはもう初めての面接を担当することになったことです。

面接をする側の経験なんてまったくなかったので、何を聞くべきなのかもよく分からないまま(会社のことなんてむしろこっちが教えて欲しいんだけどなぁ…)なんてことを内心では思いながら面接をすることになる訳です。

そして当然のように、最初のうちは失敗しました。

2. 入社1週間で面接官になり、最初の採用を外した

面接をする側の経験がまったくない状態で始めたので、当然うまくいきませんでした。

最初の頃に面接した人で、会話が噛み合わないという違和感を覚えた人がいました。話している内容が理解できないというより、こちらの質問の意図と返ってくる答えが少しずつずれる、という感じです。

ただ、当時は人手が足りていませんでしたし、技術的には必要な水準に届いているように見えました。その違和感を言語化できないまま、私はOKを出しました。

結果として、その後の業務でも同じことが起きました。案件の目的を説明しても、こちらの意図とは違う作業が返ってくる。チャットでも、まず「これはこういう意味ですか」と確認するところから始めることになる。認識を揃える作業自体は必要なものですが、毎回それが必要になると、進みが遅くなります。

今から振り返ると、問題は面接の時点で分かっていたわけです。違和感は覚えていたのですから。にもかかわらず採用したのは、その違和感が何なのかを説明できず、人手不足という理由の方が強かったからでした。

つまりこれは、その人の問題である以前に、私の面接が下手だったという話です。見るべき点が定まっていないまま面接をして、違和感を根拠として扱えなかった。

3. 当時は学歴のせいにしたが、たぶん違った

正直に書いておくと、当時の私はこの原因を学歴に求めました。経歴を見返して「やっぱり学歴は関係あるんだな」と考えたのを覚えています。

ただ、今はその見方はしていません。

理由は単純で、一人の例から出せる結論ではないからです。私が見たのは一人だけで、その後に同じ経歴の人と問題なく仕事をしたこともあります。逆に、経歴だけなら申し分ない人がまったく機能しなかったこともあります。学歴で説明できていた気になっていただけでした。

もう一つは、あの結論が自分にとって都合が良かったことです。原因を相手の経歴に置けば、自分の面接が下手だったという話にならずに済みます。実際には、私が何を見るべきか決めていなかったことの方が直接の原因でした。

今は、経歴で判断する代わりに、面接で必ず同じ質問をするようにしています。「機械学習って何ですか」という質問で、これは知識を試しているのではなく、自分の言葉で説明できるかを見ています。詳しくは面接で毎回「機械学習って何ですか」と聞いているに書きました。

当時感じたギャップとして残しておきたいのは、学歴の話ではなく別のところです。大手企業の選考プロセスは、多段階で人数もかけていて、合わない人が入ってくる確率をかなり下げる作りになっていました。ベンチャーではその網が粗くなります。入社1週間の人間が面接官をやっているのですから、当然です。

採用の精度は、応募者の質だけで決まるものではなく、選考する側の体制でも決まる。これがこのときの一番大きな気づきでした。

なお、この記事はもともと転職して3ヶ月の時点で書いたもので、当時はうまくいかなかった相手への苛立ちがそのまま文章に出ていました。その部分は後から書き直しています。

4. 自分を信じるしかないようになった

以前、自分を肯定できない人間の生きづらさ辺りの記事で書いたことですけど、私はこれまでは基本的に自己肯定感の低い(というか無い)人間でした。

大手企業では、俗にいうハンコリレー的なものがあって、基本的に自分が責任を取って何かを決めるということは少ないのではないかなと思います。もしかしたら私がそうだっただけかもしれませんが。

ただ、今の会社に入ってからは、技術に関するものはほぼすべて自分で決めていかないといけない状況になりました。

使用する技術の選択、納期、予算、詳細のスケジュールなどなど、自分が「これで」といったらそれがもう最終形になってしまう訳です。

そのため、前職までの会社にいたときに比べるととにかく勉強するようになって、自分の選択の妥当性を何度も自問自答して、知見がないものはある人に聞いてさらに勉強してちゃんと理解できるようにして…という感じで、今まで以上に本気で仕事に取り組むようになったように思います。

そして最終的には自分でGOを出すしかないので、自分を信じるようになりました。というよりも信じざるを得ないようになったというのが正しい表現ですが。

ただ、自分で真剣に考えて決めたことに沿って仕事を進めるというのは、思っていた以上に面白いことでもあるということが今になって実感できるようになってきました。

5. ベンチャーに向いている人・向かない人

これについては世間では色々言われているものですし、結局は人によって意見が異なるので、本人がベンチャー企業に飛び込んで体感してみるしかないというところが正しいんだろうなとは思います。

ただ、自分なりに向き不向きがあるんだろうなと思うところがありますので、それについて私見を述べたいと思います。

私が思うところのベンチャーへの向き不向きは一言でいうと「自分で決められる人かどうか」というところなんじゃないかなと思います。

上述したように、ベンチャーでは「自分で責任を取って物事を決めないといけない」というケースがかなり多くなります。というよりもほぼすべてがそれです。

そのため、自分で判断できずに常に人に判断してもらって、自分は歯車のごとく作業を行うだけがいいというタイプの人はまずもってベンチャーには向かないと思います。

また、本人だけの問題だけでもないというところがさらに大きな問題になります。

当然、ベンチャーに入ると周囲も「自分で決めていく人」がほぼすべてになります。そのため、他の人に決めてもらおうと相談すると、相談された方も「そんなの自分で判断しろよ」となってストレスがかなり溜まっていくことになります。

それが溜まり溜まるとチームメンバー間の関係が悪くなったり、職場環境そのものまで波及してしまうことになって、場合によっては退職者が続くなんてことにもつながりかねません。

そんな訳でベンチャーに行こうか悩んでいる人は「自分で判断を下せる人間かどうか」という軸でもその適否を考えてみるのは良いのかなと思います。

6. 学び続ける姿勢は要求される

世間ではブラックだホワイトだなんだと叫ばれるようになってきています。私自身もブラックな働き方には反対ですし、推奨するつもりもまったくありません。長時間労働を前提にする話ではないと、先に断っておきます。

ただそれでも、事業が成立している大手企業とは違って、ベンチャー企業では新しい技術や知識をキャッチアップしていく必要はかなり高いと感じています。

理由は、ひとりが担当する範囲が広くなるからです。大手なら分業されていた部分を、そのまま自分で拾うことになります。そのため「これはやったことがないので」という理由で止まると、その作業を代わりにやる人が社内にいません。

だから、今スキルが足りないこと自体は問題ではないと思っています。私自身、入社直後は面接のやり方も知りませんでしたし、パワーポイントで案件の整理をすることになるとも思っていませんでした。足りない状態から始めるのは普通のことです。

問題になるのは、範囲を自分で狭めてしまう場合の方です。「そういうことをやるつもりで入った訳ではない」という線の引き方をすると、担当できる仕事がどんどん減っていきます。これは能力の話ではなく、環境との相性の話だと思います。

そういう意味で、担当範囲が広がることを負担としか感じられない場合は、ベンチャーという選択はあまり向いていないかもしれません。逆に、そこを面白いと思えるなら合っていると思います。

7. まとめ

ベンチャー企業に転職して感じた、大手企業とのギャップについて書いてきました。

ざっくりまとめると(あくまで大手2社を経験した一人の感覚ですが)、

  • 入社してすぐに採用や技術選定の判断に関わることになる
  • 選考にかけられる人数と工程が少ないぶん、採用の精度は大手より落ちる
  • 自分で決めて、その結果を引き受ける場面がほぼすべてになる
  • ひとりの担当範囲が広く、学び続ける必要は実際に高い
  • そのぶん、自分で決めたことを進める面白さがある

というようなところです。会社によって文化はかなり違うので、あくまで一例として読んでもらえればと思います。

なお、この記事のうち採用に関する部分は、当時うまくいかなかった相手のせいだと書いていた箇所を後から見直しています。原因の多くは、面接で何を見るべきかを決めていなかった自分の側にありました。今どう面接しているかは面接で毎回「機械学習って何ですか」と聞いているに書いています。

大手とベンチャーの違いだけでなく、そもそも30代で環境を変えるかどうかについて考えたことは、30代からの初めてのキャリアチェンジに書いています。「自分で決められるかどうか」という軸をその後どう考えるようになったかは降格していくのは、いつも『自分で決められない人』だったにまとめました。