仕事を優先するという判断は、たいていの場面で正しいものとして扱われます。締め切りがあるのだから当然だし、責任感がある態度ということにもなる。ただ、それを続けた先で壊れることがあるというのも、実際に起きる話です。
私の場合は、大手IT企業への客先常駐で残業が常態化した環境にいて、そのまま適応障害で休職しました。詳しくは客先常駐はストレスがヤバいに書いていますが、当時は仕事を優先しているという自覚すらなく、ただ目の前をこなしていました。
この記事では、仕事に追われているときに何が削られていくのか、時間をどう取り戻すのか、そして仕事と生活のバランスをどう考えるのかを整理します。
目次
1. 仕事に追われて見失うものとは?
IT業界にいると、締め切りと技術のキャッチアップに追われる状態が続きます。毎日が全力疾走のような感覚になって、立ち止まる機会がありません。
最初に削られるのは時間です。仕事以外に使える時間が減っていき、そのうち「今日は何をしていたか」を思い出せなくなります。時間は一度失うと戻ってこないので、後から取り返しがきかない種類の損失です。
次に人との関係が薄くなります。忙しいときは、誰かと会う予定を後回しにするのがいちばん簡単だからです。一度や二度なら何も起きませんが、それが続くと連絡を取ること自体が億劫になっていきます。
体への影響も出ます。長時間の座り仕事と不規則な生活が続けば、当然どこかに負担がかかります。ただ、そのときは疲れているだけだと思っているので、原因と結果が結びつきません。
そして精神的な方です。ストレスが溜まりすぎると余裕がなくなり、物事の受け取り方も人との接し方も変わります。私の場合、そこまで来て初めて自分の状態がおかしいと分かりました。というより、たまたま上司に今の状態を話す機会があったから表面化しただけで、自分では最後まで気づいていませんでした。そこから休職に入り、復職して退職するまでの経過は休職後に復職・退職・転職を経験して考えたことにまとめています。
仕事に全力を注ぐこと自体は悪いことではないと思います。ただ、それが自分を削る形になっているなら話は別です。厄介なのは、削っている最中には気づけないという点です。
2. 自分の時間を取り戻す方法
IT業界では、締め切りや突発的なトラブル対応に追われて、あっという間に一日が終わります。その中で自分の時間を確保するには、ある程度意図的にやる必要があります。よく挙げられる方法をいくつか整理します。
一つは「タイムブロッキング」です。一日のスケジュールを区切って、それぞれの時間帯にやることを割り当てる方法です。何をいつやるかが決まっていると、隙間の時間がなし崩しに仕事へ吸われるのを防げます。
次に、優先順位をつけることです。目の前にあるタスクがすべて同じ重さということはまずありません。重要なものから先に片付けておけば、後半で時間が足りなくなっても、致命的なものは終わっている状態になります。
「デジタルデトックス」も方法の一つです。常にスマホとパソコンに囲まれていると、休んでいるつもりの時間も情報を処理し続けることになります。一定時間だけデバイスから離れる時間を作ると、頭が休まる感覚が戻ってくると言われています。
そして、断ることです。すべての依頼を引き受けていると、自分の時間はなくなります。断ることは無責任なのではなく、引き受けられる量を正確に伝えているだけです。とはいえ、これがいちばん難しいのも事実だと思います。
どれも、やろうと決めた瞬間にできるようになるものではありません。ただ、忙しい時期ほどこういう手を持っていないと、削られる一方になります。
3. 仕事と人生のバランスを考える
バランスを考えるには、まず何のために働いているのかがはっきりしている必要があります。ここが曖昧なままだと、目の前の仕事を優先するという判断しか残りません。
私の場合、それを考える余裕ができたのは休職してからでした。休んでいる間もしばらくは罪悪感の方が強くて、キャリアをどうするかなんて考えられる状態ではありませんでした。落ち着いてから、ITを続けるかどうか、どこで働くかを一つずつ考え直しています。順番としては後手ですが、追い込まれるまで考えられなかったというのが正直なところです。
もう一つは、一人で抱え込まないことです。負担を分担できる状況なら分担した方がいいし、そもそも今どういう状態なのかを誰かに話すだけでも変わります。私は自分から「しんどい」と言えない性格でしたが、たまたま話す機会があったことで休職につながりました。言えていなかったら、どうなっていたかは分かりません。
働き方の選択肢が増えているのも、使えるなら使った方がいいと思います。リモートワークやフレックスが選べる環境なら、時間の使い方を自分でコントロールできる幅が広がります。ただ、制度があっても実際に使える空気かどうかは別問題で、そこは職場によります。
仕事を優先することがすべてではない、というのは言葉にすると当たり前です。ただ、その当たり前が効かなくなるくらい追い込まれる環境は実際にあります。バランスを取るというのは、余裕があるときにやる贅沢ではなく、壊れる前にやっておくべきことなんだと思います。
4. 最後に
仕事を優先しすぎると、時間、人との関係、体調、そして精神的な余裕が順に削られていきます。しかも、削られている最中は自覚できません。
対策として挙げられるのは、時間の使い方を決めておくこと、優先順位をつけること、常に情報に触れている状態から離れる時間を作ること、そして引き受ける量を調整することです。どれも地味ですが、追い込まれてから始められるものではありません。
自分が何のために働いているのかを、余裕のあるうちに一度考えておく。私はそれをやらないまま限界まで行ったので、順番としては勧められないやり方でした。
仕事を優先し続けた結果、私は実際に適応障害で休職しています。そこに至るまでの経緯と、どうやって仕事から離れたかは自分が壊れるくらいなら仕事から逃げように書きました。
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