次を決めずに辞めて4か月、お金は実際どう減ったか

次の仕事を決めずに会社を辞めようか迷っているとき、いちばん気になるのはお金だと思います。私もそうでした。ただ、当時いくら調べても出てくるのは制度の説明ばかりで、「で、実際どうなるの」というところが分かりませんでした。

私は年末頃に退職して、再就職したのは翌年の4月中旬です。だいたい4か月弱の無職期間がありました。辞めた直後の気持ちは無職になって焦りはないけどやる気もないに書いたのですが、あの記事にはお金の話がほとんど出てきません。役所で健康保険と年金の手続きをした、という一行があるだけです。

今回はその抜けている部分を書きます。何を選んで、何にいくら消えて、何がいちばん怖かったのかという話です。

なお、以下は私一人の場合であり、退職した年も家族構成も収入も人によって違います。制度そのものは後から変わっているものもあるので、実際に手続きするときは各自で公的機関の情報を確認してください。

目次

  1. 月20万円くらいのペースで減っていった
  2. 健康保険は国民健康保険にした
  3. 失業給付は受けなかった
  4. 住民税がいちばん怖かった
  5. 4か月を振り返って思うこと

1. 月20万円くらいのペースで減っていった

先に結論から書くと、生活水準をまったく変えなかったので、月に20万円くらいのペースで貯金が減っていきました。4か月弱なので、単純計算で80万円ほどです。

節約しようとは思いませんでした。というより、そもそも節約する余地があまりありませんでした。無職になってからの私は本当に何もしておらず、近所のスーパーとコンビニに行く以外は家にいたので、遊びに使うお金はむしろ減っています。それでも減るときは減ります。

このときの感覚については7年後に人生の答え合わせをしてみたにも少し書きましたが、口座の残高が毎月確実に減っていくというのは、辞める前に想像していた「収入がなくなる」という言葉とはだいぶ違う体験でした。派手に使っていないのに減る、というところが効きます。

2. 健康保険は国民健康保険にした

会社を辞めると健康保険をどうするか決めることになります。大きく分けると、それまでの健康保険を任意継続するか、国民健康保険に入るかです。

私は国民健康保険にしました。理由は金額ではありません。辞めた会社とは喧嘩別れに近い形だったので、退職後もその会社に関係する手続きを続けたくなかった、というのが正直なところです。だから任意継続と保険料を比較すらしていません。

冷静に考えれば、まず両方の金額を出してから決めた方がよかったと思います。ただ、あのときの私にそういう判断をする気力がなかったのも事実です。感情で選んだ、というだけの話です。

制度としての任意継続には期限があります。全国健康保険協会(協会けんぽ)によれば、資格喪失日から20日以内に申出書を提出する必要があり、加入できるのは2年間です。保険料は在職中と違って全額自己負担になります(協会けんぽ「任意継続の加入条件について」)。

20日というのは、辞めた直後のぼんやりした頭で過ごしているとあっという間です。比較して決めるつもりがあるなら、辞める前に調べておいた方がいいと思います。私のように比較せずに決めるにしても、期限だけは先に知っておくべきでした。

3. 失業給付は受けなかった

失業給付(基本手当)は受けませんでした。理由は二つあります。

一つは、そんなに長く無職でいるつもりがなかったことです。実際には最初の2か月ほど何もしていなかったのですが、それでも年単位で無職を続ける気はありませんでした。

もう一つは、一度受給するとそれまでの加入期間がリセットされる、と理解していたことです。本当に不可抗力で仕事を失ったときのために、そこは使わずに取っておきたいと考えました。

これは制度上も概ねその通りでした。給付日数の基礎になる「算定基礎期間」からは、過去に失業等給付を受けたことがある場合、その受給に関する離職日以前の期間が除かれます。また、雇用保険の資格を喪失してから再加入するまでが1年を超える場合も、それ以前の期間は含まれません(東京労働局「求職者給付に関するQ&A」)。

私は受給せずに4か月弱で再就職したので、前の会社までの加入期間はそのまま引き継がれた形になります。当時は「何となくそう聞いた」程度の理解で決めていたので、後から調べて筋は通っていたと分かった、というのが実際のところです。

ちなみに、自己都合退職の給付制限期間は後から短縮されていて、令和7年4月1日以降に離職した場合は原則1か月です(厚生労働省の案内)。私が辞めた頃とは条件が違うので、今検討している人は自分の離職日で確認してください。

念のため書いておくと、私が受給しなかったのは私の事情での判断です。生活の見通しが立たない状態なら、受け取ることを前提に考えた方がいい場面もあると思います。

4. 住民税がいちばん怖かった

一番驚いたのは住民税でした。

会社員のうちは給与から天引きされているので、いくら払っているかを意識していませんでした。それが退職後は自分で納めることになり、まとまった金額の通知が来ます。個人住民税は前年の所得に基づいて課税され、給与天引き(特別徴収)ではなくなると、市町村から納税通知書が届いて自分で納める普通徴収になります(総務省「個人住民税」)。

つまり、収入がゼロになった年に、収入があった年の分を払うことになるわけです。理屈としては知っていたはずなのですが、実際に請求が来ると話が別でした。一気にお金が減っていく感じが、正直に言って怖いとすら感じました。

減るのが怖い、というのは冷静な反応ではないと思います。払うべきものを払っているだけですし、金額そのものが異常だったわけでもありません。ただ、収入がない状態で数字だけが大きく動くと、こんなに落ち着かないものなんだなというのは、やってみて初めて分かりました。

もし次を決めずに辞めるなら、貯金が何か月分あるかを数えるときに、この分を別枠で引いておいた方がいいと思います。私は引いていなかったので、想定より減りが早く感じました。

5. 4か月を振り返って思うこと

こうして並べてみると、私は下調べらしい下調べをしていません。健康保険は感情で選び、失業給付は聞きかじりの理解で見送り、住民税は来てから驚いています。それでも生活が破綻しなかったのは、単に4か月しのげるだけの貯金があったからです。そこは運というか、条件が揃っていただけだと思っています。

辞めたこと自体を後悔してはいません。あのまま続けていたら、たぶん何も変わりませんでした。ただ、人生をSCRAP & BUILDだ!に書いたような勢いで辞めるにしても、お金の部分だけは勢いと切り離して先に数えておけばよかったなとは思います。

具体的には、辞める前にこの三つを見ておけば十分だった気がします。任意継続と国民健康保険の保険料を両方出しておくこと。失業給付を受けるか受けないかを、期間の見通しとあわせて決めておくこと。そして、翌年に来る住民税を貯金から先に引いておくこと。どれも辞めてからでもできますが、辞めた後の頭では調べる気力が落ちています。

辞めるかどうかで迷っている人に向けて「大丈夫だから辞めなさい」と言うつもりはありません。ただ、お金の面については、想像の中で漠然と怖がるより、実際の数字を並べた方が判断しやすくなるとは思います。私の場合は月20万円と、そこに乗ってくる住民税でした。

そもそも辞めると会社にどう伝えたのかは退職を切り出した相手は、パワハラ上司ではなくその上の人だったに書きました。退職後にどういう順番で復職や転職を考えていったのかは休職後に復職・退職・転職を経験して考えたことに、そこから実際に転職先を選ぶまでの話は30代からの初めてのキャリアチェンジに書いています。