退職を切り出した相手は、パワハラ上司ではなくその上の人だった

このブログには、辞めた理由も、辞めた後にどうなったかも書いてあります。ただ、「辞めます」と実際に口に出した場面だけがどこにも残っていません。

辞めるかどうかで迷っている人が本当に詰まるのは、たぶんそこだと思います。理由は自分の中で固まっているのに、誰にどう言えばいいのかが分からない。言った瞬間に何を返されるのかも分からない。私もそうでした。

なので今回は、その場面だけを書きます。誰に切り出したのか、何を言われたのか、そして今それをどう思っているのかという話です。

目次

  1. 決めたのは、昼休みの散歩中だった
  2. 直属の上司を飛び越えて切り出した
  3. 引き止めはなかったが、嫌な思いはした
  4. 次は決まっていない、とぶっきらぼうに言った
  5. あのときの言い方に後悔はない

1. 決めたのは、昼休みの散歩中だった

退職を決めた瞬間の話から書きます。会議室でもなければ、家で一人で考えている夜でもありませんでした。昼休みに会社の周りを散歩しているときです。

そこで、社内の相談窓口を担当している人にばったり会いました。面談を予約していたわけではなく、本当にただの偶然です。その場の立ち話で、私は辞めることを決めました。

今思い返しても、よくあのとき会えたなと思います。あのとき散歩に出ていなかったら、あるいはその人とすれ違わなかったら、私はもうしばらくあの状態のまま苦しんでいた気がします。決断というと自分の意志で下すもののように聞こえますが、私の場合はきっかけの方が先にあって、意志は後から追いついてきました。

理由そのものは、それ以前からずっと積み上がっていました。合わない上司のことは「嫌なやつはどこにでもいる」から何なの?に書いていますし、業界そのものへの見切りについては人生をSCRAP & BUILDだ!にまとめています。積み上がってはいたけれど、最後の一押しが自分の中から出てこなかった、ということだと思います。

2. 直属の上司を飛び越えて切り出した

切り出した相手は、問題になっていた上司ではありません。その人を飛び越えて、さらに上の上司に伝えました。

順序としては褒められたやり方ではないと思います。普通は直属の上司に先に話すものですし、飛ばされた側からすれば面白くないはずです。それでも私はそうしました。理由は単純で、その人に話しても意味がないと分かっていたからです。私が消耗していた原因がその人だったので、そこに向かって「もう無理です」と言うのは、解決を頼む相手を間違えているようなものでした。

言い方の準備はしていません。台本を考えたわけでもなく、切り出す日を決めていたわけでもありません。散歩から戻ってきて、そのまま話しに行ったという感じです。

3. 引き止めはなかったが、嫌な思いはした

引き止めはありませんでした。条件を出して残ってくれと言われることもなかったです。

代わりに返ってきたのが、あの言葉でした。

嫌な上司なんてどこにでもいるよ

このひと言についてどう思ったかは「嫌なやつはどこにでもいる」から何なの?にそのまま書いたので繰り返しませんが、要するに「うちの環境は変えないから、君が我慢するか出ていくかだ」と言われたのと同じです。優しく諭す口調でそれを言われるのが、いちばんこたえました。

もう一つ嫌だったのが、退職日の話です。提示されそうになった日付が、ちょうど賞与の支給直前でした。意図がどこにあったのかは分かりませんし、単に事務的にそうなっただけかもしれません。ただ、こちらは辞めると言った直後で、相手の善意を素直に信じられる状態ではありません。あのタイミングでその日付を出されて、何も思わない人はいないと思います。

辞めると伝えた後は、こういう細かい条件の話が出てきます。理由をどう説明するかばかり考えていた私は、そこまで想定していませんでした。もし今から誰かに助言できるとしたら、伝える言葉より先に、退職日をいつにしたいかを自分の中で決めておいた方がいい、ということでしょうか。

4. 次は決まっていない、とぶっきらぼうに言った

次の仕事が決まっていないことも、そのまま伝えました。隠しませんでした。

ただ、伝え方は丁寧ではありませんでした。ほとんど喧嘩別れのような空気だったので、こちらもぶっきらぼうです。相手が反応したのは、次が決まっていないという一点だけでした。そこは気にしている様子でしたが、それ以外については特に関心がなさそうでした。

冷たいと言えば冷たいのですが、当時の私にはその方が楽でした。理由を細かく問い詰められていたら、たぶん途中で言葉に詰まっていたと思います。

次を決めずに辞めると言うと、たいていは無責任だと受け取られます。実際、当時の私にとってもこれはかなり大きな決断でした。それまでずっと安全そうな方を選んで生きてきた人間なので、白紙のまま辞めるという発想自体が自分の中になかったんですね。そのあたりの心境は人生をリセットしたいと思ったときに書いています。

それでも、決まっていないことを取り繕わなかったのはよかったと思っています。うまく説明しようとすると、こちらに落ち度があるような話し方になっていた気がします。

5. あのときの言い方に後悔はない

当時の伝え方について、今も後悔は一切ありません。

もっと穏便に、円満に、と考える余地はあったのかもしれません。ただ、あの状態の私にそれを求めるのは無理でした。そこまで消耗する前に何とかするべきだった、というのはその通りですが、それは切り出し方の問題ではなく、もっと前の段階の話です。

振り返って一つだけ言えるとすれば、切り出す相手を選んだことは正しかったということです。話しても仕方ない相手に順序どおり話していたら、たぶんもう一往復か二往復、消耗する会話が増えていました。辞めると決めた後にやるべきなのは、筋を通すことより、話が前に進む相手に届けることだったと思います。

そして、決断そのものは偶然に助けられました。昼休みにたまたますれ違わなければ、あと何か月かは動けなかったはずです。だから「決心がついてから動く」というのは、私の場合は順番が逆でした。話す場が先にあって、決心はその場でついています。

しかも、相手は社内の相談窓口の担当者です。つまり、本来なら予約して話を聞いてもらえる相手でした。私はそれを偶然の立ち話でやってしまったわけですが、同じことは自分から申し込めばできたはずです。散歩に出た日がずれていたら成立しなかった決断を、たまたま運で引き当てたにすぎません。

決心がつかないまま消耗している人がいるなら、そこは運に任せなくていいと思います。相談窓口でも産業医でも、社外の相談先でも構いません。答えを出してもらう必要はなく、話しているうちに自分の中で決まることがある、というだけの話です。少なくとも私の場合はそうでした。

この後、実際に辞めてから再就職するまでに何が起きたかは休職後に復職・退職・転職を経験して考えたことに、その間のお金がどうなったかは次を決めずに辞めて4か月、お金は実際どう減ったかに書いています。