会社を辞める前、私は「IT業界にはもう関わりたくない」と本気で思っていました。それなのに、今も人工知能や機械学習に関わる仕事をしています。
途中で考えが変わったわけですが、その理由は「やっぱりITが好きだったから」といったものではありませんでした。今回は、あのとき考えていて選ばなかった仕事と、選ばなかった理由について書いてみます。選んだ道の結果は7年後に人生の答え合わせをしてみたに書いたので、今回はその裏側です。
目次
1. 業界ごと嫌になっていた
適応障害で休職する直前は、IT業界そのものが嫌になっていました。今から振り返ると、当時の私にはITの仕事とあの職場を区別する余裕がなかったんだと思います。しんどい原因が目の前の環境にあっても、その環境で毎日やっているのがITの仕事なので、全部まとめて嫌になる。そういう状態でした。
だから退職を決めた時点では、次はIT以外の仕事にしようと考えていました。当時の気持ちは人生をリセットしたいと思ったときにも書いています。
2. 実際に考えていた仕事
無職になってから考えていたのは、一次産業、伝統工芸に関わる仕事、自転車に関わる仕事などです。場所についても、能登の方へ行ってみるのはどうか、いっそ東京でもう一度やってみるのはどうか、といったことを考えていました。
今並べてみると、共通しているのは「今までと全然違うこと」という一点だけです。具体的にどの会社の何という仕事に就きたい、というところまでは詰めていませんでした。求人を眺めながら、こういう働き方もあるのかと考えている段階から先へは進んでいません。
3. 選ばなかった理由は、スキルと年収だった
結局これらの仕事を選ばなかった理由は、そんなに格好のいいものではありません。理由は二つです。
一つは、すでにスキルを持っている業界の方が検討しやすかったことです。未経験の分野だと、自分に何ができるのかを説明するところから始まります。それに対して今までやってきた分野なら、どういう仕事があって自分がどこに入れそうかが最初から見当がつきます。同じ「探す」でも進み方が全然違いました。
もう一つは、年収です。経験のある分野の方が条件が良かったです。無職の期間は4か月あって、その間に口座の残高が減っていくのを見ていると、この差は無視できませんでした。最初のしばらくは何もせずに過ごし、2か月ほど経った頃に就職活動を再開しています。
やりたいことを基準に選んだというより、現実的に検討しやすい方を選んだ、というのが正直なところです。
4. 嫌だったのはIT業界ではなく、あの職場だった
もう一つ、離れている間に変わったことがあります。仕事から距離を取って少し落ち着いてくると、ITそのものが嫌なのか、あの職場や仕事の進め方が嫌だったのかを分けて考えられるようになりました。
休職中の私にはこの区別ができませんでした。距離と時間が必要だったんだと思います。分けて考えられるようになると、これまでやってきた人工知能や機械学習の分野で仕事を探すことに抵抗がなくなりました。結果として、私は同じ分野に戻っています。
この区別ができたのは、仕事から離れている時間があったからだと思います。退職した直後に勢いのまま別の業界を決めていたら、気づかないまま次に進んでいました。
5. 選ばなかった道は答え合わせができない
とはいえ、一次産業や伝統工芸の仕事を選んでいたらどうなっていたのかは、今も分かりません。永久に分かりません。選ばなかった道には結果が存在しないので、答え合わせのしようがないんですね。
だから私は、あのとき別の道へ行かなかったことを正解だったとも間違いだったとも言えません。言えるのは、戻ってきた側の道が今のところうまくいっているということだけです。ベンチャーを選んだ後にどうなったかは、正解を探すより“自分の答え”を作れに書きました。
今いる業界から離れたいと思っている人に何か言えるとすれば、業界が嫌なのか、今の職場が嫌なのかを分けて考えられる状態になってから決めた方がいい、ということでしょうか。私の場合、その区別ができるようになるまでに数か月かかりました。休職から転職までの流れは休職後に復職・退職・転職を経験して考えたことにまとめてあります。