部下から「正解を教えてください」と言われ続けると、自分で考える気がないように見えます。ただ、正解を求める行動が、すべて思考停止とは限りません。目的や決定権が曖昧な仕事では、先に確認しない方が危険なこともあります。
問題なのは確認することではなく、考える部分まで上司へ返してしまうことです。そして、そうなる原因は本人だけでなく、上司の関わり方や評価の仕方にもあります。
目次
1. 確認が必要な仕事と、正解を待つ仕事
顧客との約束、予算、納期、他部署への影響など、担当者だけでは決められないことがあります。このような場面で上司へ確認するのは、責任逃れではありません。決定権を持つ人に判断を求める、必要な仕事です。
一方で、自分で決められる進め方まで毎回確認していると、上司の返事が来るまで仕事が止まります。どちらなのかを分けるには、「誰が決める事項か」が共有されている必要があります。
2. 考えていない相談は、何が違うのか
相談の回数だけでは、自分で考えているかどうかは分かりません。違いが表れるのは、相談の中身です。
「どうすればいいですか」だけなら、問題の整理から判断まで相手へ渡しています。対して、「A案で進めたい。理由はこれで、懸念はここです」と持ってくれば、本人の判断が見えます。結論が上司と違っていても、どこを直せばよいか話せます。
正解を求める癖を変えるなら、相談を禁止するより、相談するときに自分の案を添えてもらう方が実務的です。
3. 上司が正解待ちを作ることもある
細かく口を出すほど、部下の仕事が良くなるとは限りません。実際、私が進め方に口を出しすぎたとき、こちらの指摘に合わせようとして右往左往する部下がいました。さらに口を出し続けると、最初から指示を待つようになったように見える部下もいました。
自分で決めても後から毎回変えられるなら、先に正解を聞く方が合理的です。上司が細部まで修正し続けた結果、「自分で考えろ」と言っても噛み合いません。
反対に、何も見なければ、求める水準に届かない仕事がそのまま出てくることもあります。この間でどう関わっているかは、放任主義で休職した私が、今は部下への口出しで迷っているに実際の経験として書きました。
4. 答えではなく、判断材料を持ってきてもらう
相談するときは、少なくとも次の四つがあると話を進めやすくなります。
- 何を決めたいのか
- 自分はどの案を選びたいのか
- その理由は何か
- 何が分からず、どこを判断してほしいのか
最初から精度の高い案である必要はありません。本人の考えが見えれば、上司は答えを丸ごと渡すのではなく、見落としている条件や判断の基準を返せます。
5. 方向は合わせ、進め方は奪わない
仕事に正解がないとはいっても、目的や守るべき条件まで自由なわけではありません。上司が確認するのは、何を目指すのか、何を越えてはいけないのか、最終的に何を出すのかという部分です。
その範囲が合っているなら、細かな順番は本人に任せる。途中では、正解を教えるためではなく、方向が外れていないかを見るために報告してもらう。この分け方なら、任せることと放置することを同じにせずに済みます。
「正解を求める人」と決めつける前に、本人が決める範囲を渡しているか、考えを持って相談できる形になっているかを見直す。正解待ちを減らすには、本人の姿勢と仕事の渡し方の両方を見る必要があります。