石川にUターン転職で今の会社に転職して、まだ1年半ほどしか経っていませんが、退職することにしました。次の仕事は決まっていません。まったくの白紙です。でも何故なんでしょうね。将来への不安は一切なくてスッキリしています。
というわけで、今後おそらく大変な時期もやってくるだろうから、退職を決めたときの思いを忘れないように、今思っていることを残しておきたいと思います。
なお、退職を決めた当時に漠然とは感じていたけども、後々時間が経ってから言語化できるようになったものも随時追記していく予定です。
どうして辞めようと思ったか
一言で言い表すなら「もういいや」ということに尽きます。最初はただ漠然とそう思っていたんですが、冷静になって考えてみると、具体的に説明できそうな理由に整理できつつあるように思いますので、それらについて思うことをつらつらと書いていきたいと思います。
①SIerでAI/データ分析をしていたこと
前職も含めて、今まではデータ分析や人工知能といった仕事してきました。そういった仕事をSIerでしていると、何だかんだ結局最後に立ちはだかってくる問題があるんですね。
「データが無い…」
SIerでのデータ分析の仕事は、基本的に他社の企業からデータを預かって分析して、その結果をお客さんに報告するという形が一般的です。どちらかというとコンサルに近い感じのイメージで良いかと思います。そのため、事業会社で分析をやっている分析者とは違って、データをなかなか集めにくい状況にある訳です。なんせ、自分たちでやっている事業ではなくて、お客さんの事業について分析するので。
一方、お客さんである事業会社は分析とかAIとかやりたがるけど、どんなデータを使ったらいいかよく分からなかったり、そもそも自分たちがどんなデータを持っているのかすらあまり知らなかったりします。
そうなると、いくらSIerの中で人工知能やってますと言っても、なかなか身のある仕事がしにくいという構造があります。SIerの中で人工知能の仕事に携われば携わるほど、結果が出にくい環境で仕事をしていかないといけないわけですね。
しかも請負でやる以上、どうしても成果を出すことが求められます。まともなデータも、まともな課題もないのに…。そういうある種の不毛さが実体験として分かってきたために、SIerは「もういいや」となったんだと思います。
言い換えると、事業会社に所属して今のような仕事をやっていけるなら、それはそれで面白い仕事ができそうかなという気はしなくもないです。
②請負という仕事のこと
この業界にいる方は比較的経験したことがあるのではないかと思いますが、SIerは請負契約で業務を行うことが多いです。多少極論も入りますが、請負契約でのシステム作りというのはざっくり言うと「この金額で、この期間でシステムを作ってね。作って欲しいものはこれから決めていくけど」というものです。仕事が始まる前に支払われる金額が決まってしまっているんですね。なじみの無い方には「なんじゃそりゃ」という感じかもしれませんが、これがIT業界では結構普通です。
※後日談
「作って欲しいものはこれから決めていくけど」に関しては請負契約での業務だからという訳ではありません。本来は請負でやる場合は事前に作りたいものが決まっていることが多いです。決まっていないとそもそも普通は見積りすらできませんので。ただし、当時の所属会社では作りたいものを決めずに請負契約を締結してしまうことが多かったため本記事のような記載となっています。
そうなるとどうなるか。これまた極端な言い方をすれば「手を抜けば抜くほど儲かる」ということなんですね。だって支払われる金額はもう決まっているんだから。
実際に手を抜いているかと言われると、もちろんそんなことはありません。それでも、やっぱり最終的には「見積もりにないから、これ以上はやんねーよ」というスタンスを取らざるを得なくなってくるんですね。何でもかんでもお客さんの要望通りにシステムを作っていては際限がないので、会社としては一定の利益を確保するためには正しい考え方です。
ただそうなると、最終的にはお客さんが満足するものを作るのはなかなか難しくなります。いかにうまくお客さんを説得して「やらなくていいようにするか」という交渉が必要になってきます。そうなると、実際にシステムを作っている側の立場からすると、自分たちでも中途半端だと思っているものをお客さんに提供しないといけないということになります。
それって、ものすごくモチベーションを下げる仕組みだと思いませんか?もちろん、下請けとしてシステムを作るということがそういうことだとは理解はしているつもりでした。ただ、思っていた以上にモチベーションを保てない仕組みなんだということは、実際に体験してみて感じました。そして、「もうこのような仕組みの中で仕事を続けていくことは人生の無駄遣いだろうな」と思い、退職することを考えました。
③偽装請負
IT業界の人はよーーーくご存知のことかと思います。偽装請負の問題点についてアクシアさんが詳しく書いていますので、ぜひ読んでみてもらいたいです。偽装請負にもいろいろありますが、私が特に気になったのは、指揮命令権がないのに平気で命令しているというところです。
少し説明しますと、まず上述した請負契約ですが、これは簡単にいうと「作るものをちゃんと作ってくれればそれでいいから。こっち(発注側)は命令する権限もないしね」というものです。
この「指揮命令の権限が発注側にはない」ということが重要です。ただ、実際の現場ではこの法律がほぼ無視されていて、平気で発注側が受注側の担当者に対して命令してきます。私自身、不本意ながら両方の立場を経験しました。
休職することになった原因のひとつにも、自分は受注側の担当者の立場なのに、発注者側のお偉いさんに直接指示を受けたりしていて追い込まれていったということもあるくらいです。その度に、「法律すら守らない企業って一体何のために存在するんだろうなー…」という焦燥感を覚えてしまうわけですよ。
酷い上司になると、
「協力会社の社員を俺たちが鍛えてやってるんだよ」
とか
「正社員だけでやっていると利益が出ないから、(安く使える)協力会社と一緒にやらないとね」
とか言い出す人もいます。悪気が無いどころか自分たちが正義だと言わんばかりの言いっぷりです。しかも、違法なことをしないと利益が出ないって、もう事業として失敗してんじゃんっていうね…。ちなみに、私がいる会社だけでなくてIT業界、特にSIerでは頻繁に起きていることです。
そういうことがあって、少なくともSIerというのは高確率で健全な企業ではないし、そんなところでこれからもずっと働き続けるのは、そもそも人としてどうなんだろうという疑問が露骨に感じられるようになってきて、この業界は離れるべきだなと思うようになった訳です。
④今までとこれからの生き方のこと
以前どれかの記事で書いた気もしますが、私は今まで決められたレールの上を走ってきただけの人間です。何も考えずに与えられるものをこなしてさえいれば、人生は何だかんだ進んできました。
ただ、ここ数ヶ月くらいの間に急に、自分の意志の無さが仕事を進める上で悪影響を及ぼすようになってきました。言われたことをしっかりとこなすことが正しいとされた環境・世界の中で生きてきた私にとっては、
「自分の存在って一体何なのか」
「このまま意志のない自分で生きていけるのか」
そう悩むことが増えてきました。そして、それは一時的な悩みなのではなく、これから生きていく上でずっと付いて回るものなんだろうと思います。
いずれは「このままだともう生きていく気力を保てないときが来るんだろうな」と思うときがやってくるんだろうなと思います。そこまで実感したときに、私の中では取り得る方法はただひとつでした。
「人生を一度壊して、またやり直そう」
退職を決めたその瞬間は、漠然とした諦めであったり現実からの逃避であったりということが理由なんだろうなと思っていましたが、今考えるとこういうことだったんだろうなと思います。今までも途中までやりかけて、なんか違うなと思ったら1からやり直すというような生き方をしてきたので、今回はある意味自分の人生を題材にして、それをやりたくなっただけのことなんだろうなと思います。
そう考えると、特殊なことをしているというわけではなくて、自分の中のよくある性質のひとつがたまたま現れただけなんだなと思います。そうであれば、将来への不安を感じないのも何となく分かる気がします。
これから
最初にも書きましたが、今後何をしていくのかはまったくの白紙です。経済的に困った結果、結局またIT業界に戻ることになるのかもしれません。せっかく石川にUターン転職したのに、IT業界に戻るとなればまた東京に戻ることになるかもしれません。もしかしたらまったく別の仕事で、人生をかけてやりたいと思えることが見つかるかもしれません。
どうなるかはまったく分かりませんが、変わることを怖れて今のままの人生を続けていくと、人生を終える直前になって後悔することは間違いないと思います。それであれば、今のタイミングですべてをリセットしてゼロベースで人生を作り直してみるのも悪くないなと思います。
というわけで、退職を決めたときの心情をただただ思いのままに書いてきました。
今後どうなるかは本当に分かりませんが、もうこうなったらやることはただひとつ!!!
人生をSCRAP & BUILDだ!!!
おすすめ記事
こちらにおすすめ記事をまとめているので、もしよかったらこちらもご覧ください。