放任主義で人は本当に育つのか?

今回はよくある放任主義について思うところを書いてみたいと思います。

どうして放任主義について書いてみようかと思ったのかという背景ですが、率直に言って最近私がメンタルを壊して休職するに至った原因のひとつなんじゃないかと思っているからです。

私は最近転勤で部署や職場環境が大きく変わりました。転勤先は客先にひとりで常駐するという環境でして、身近なところに頼れる人はいないという環境でした。また、部署異動に伴って上司であったり社員の育成方針といったものが大きく変わり、基本的に放任主義の部署に配属となりました。

私は人に頼る・相談するということが苦手なタイプで、放任主義の部署の中でさらにひとりで客先に常駐しているということでかなりのストレスを感じていました。相談相手がいないというだけではなくて、地元に戻ったはずがすぐに転勤させられたことや、客先でお客さんに常に晒されるプレッシャー、自分のスキル不足などなど色々な要因がたまたま一気に重なってしまいました。その結果、1か月程度で急激にメンタルを崩していって最終的に休職するということになりました。

なぜこういう事態になったかということですが、客先にどんどん社員を出していってお客さんの前面に立たせることで、ある意味強制的に成長させるという異動先の部署の方針が大きな原因のひとつだと思います。ただ、客先に出していっても、しっかりとフォローしてもらえる環境があればいいとも思うのですが、私の部署では概ね放任主義を取っています。客先常駐+放任主義という状況に適する人は、

①自分で色々(勝手に)決めることができる程度にはスキルがある人
②スキルはなくてもしっかりと人に相談できる人

というような人かと思います。しかし、私の場合には①②の両方とも素質として欠けていました。その結果、自分で勝手に追い込まれていく事態となってしまいました。

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放任主義で結局人は育つのか

ぶっちゃけ放任主義では人は育たないです。じゃあどうして放任主義が未だに世間にはびこっているんでしょうか。それは、成長する人は勝手に成長していくからです。勝手に成長していく人が一定数いるせいで、人の育て方として成り立っているように「見えてしまっている」だけだと思います。重要なのは、あくまでも育っているのではなくて「勝手に成長しているだけ」というところです。

どういう人が勝手に育っていくのかというと、基本的な動作、要するに報連相が適切に出来る人です。さらにそれに加えて、十分な技術的なスキルが備わっている人です。そのような人は自分のやりたいように仕事の内容を決めて、自分で判断して、自由に仕事を進めていくことができるため勝手に成長してきやすくなると思います。

一方で、報連相の中でも特に相談ができない人、またスキルが十分になくて自分の決断が正しいのか間違っているのかがまったく判断できない人にとっては放任主義はかなり辛い環境になります。プロジェクトが進むにつれて内容がどんどん複雑になってカオスな状態になっていく中で、自分の判断に自信を持てない状況というのは、精神的にかなり不安定な状態になります。

最近私は精神的に追い込まれて休職することになりましたが、まさにこの状況になってしまっていたというところが大きいと思います。私はデータ分析やら人工知能といったような分野を生業にしていましたが、システム開発らしいシステム開発というのはまったくやったことがありませんでした。今回、客先常駐になって対応することになった案件は、データ分析の知識も必要なものでしたが、それ以上にぼんやりとしたシステム開発の要件を整理していって形にしていくというスキルがかなり求められる案件でした。

そのため、私の決断が正しいのか間違っているのかを自信をもって判断できるケースというのはほとんどありませんでした。そして、自信のない判断で決まっていったことがどんどん増えて行く状態になっていました。

仮に開発するシステムが小さいものであれば、多少の手戻りが必要になったりしても私が頑張れば何とかなるのでそこまでストレスではなかったかもしれません。ただ、今回開発するシステムはそこそこの規模のものであり、私の決定が他の人の開発部分にまで影響を及ぼすものでありました。そのため、常に綱渡りをしているような感覚で色々なことを決定していかなければならず、とうとう耐えられなくなってしまいました。

結局のところ、放任主義というのは成長する人が勝手に成長していくだけであって、人を育てるための方法ではないんだろうと思います。もし、まだ自分には十分なスキルがある訳でもないのに放任主義の環境にいることを強制されているような人は、今後の自分の成長のことを考えるのであればさっさと転職するなりなんなりして環境を変えてしまう方が自分のためだと思います。

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