ITエンジニアにとって、一番の武器は「新しい知識」でも「流行りのフレームワーク」でもなく、“考え抜く力”だと、私は強く感じています。どんなに技術が進化しても、課題の本質を突き詰めて考えられる人は、やっぱり強い。今回はそんな「思考する体力」について、現場で感じたことや、日々意識していることをまとめてみました。
目次
1. はじめに:ITエンジニアに必要な“思考する体力”とは
ITエンジニアという仕事を続けていると、「体力勝負」という言葉をよく耳にします。夜遅くまでのデバッグや、リリース前の追い込み作業……。もちろん物理的な体力も重要ですが、それと同じくらい、いやそれ以上に求められるのが「思考する体力」です。
この“思考する体力”というのは、一つの課題や問題について、途中で投げ出さず、最後まで深く考え抜くことができる力のこと。難しいエラーや複雑な仕様に直面したとき、安易に「まあいいか」で流してしまうのか、粘り強く原因を突き詰めるのか。この差が、数年後にはとてつもなく大きな実力差になって現れます。
最近の新人エンジニアを見ていると、表面的な知識のインプットは得意でも、“考え抜く”ための持久力が弱い人が多い印象です。なぜ「思考する体力」が今、あらためて問われているのか――その理由を掘り下げてみたいと思います。
2. なぜ「考え抜く力」が重要なのか
はっきり言って、ITエンジニアの世界は「ググれば出てくる答え」だけで回るほど甘くありません。複雑なシステムや新しい技術、クライアントの曖昧な要望……。目の前にある情報をどう読み解くか、仮説をどう立てて検証していくか――この地道な“思考のプロセス”こそが、優秀なエンジニアを形作っています。
「考え抜く力」がない人は、壁にぶつかった瞬間、すぐに諦めたり、誰かに丸投げしてしまいがちです。でも、本当に力のあるエンジニアは、なかなか答えが見つからなくても粘り強く調べ、仮説を立て、何度も失敗しながらも答えに近づいていきます。この“しつこさ”が、最終的に複雑な問題を解決できるかどうかの分かれ道になるんですよね。
3. 思考する体力を奪う現代の誘惑
便利な時代になったもので、困ったことがあればすぐにGoogleやChatGPT、Stack Overflowで検索すれば、なんとなくの答えはすぐに手に入ります。僕もよく使いますし、もちろん情報収集ツールとしては最強です。でも、その“便利さ”が思考する体力をじわじわと蝕んでいる気がしてなりません。
特に若手に多いのが、エラーや課題に直面した瞬間にとりあえずコピペで解決しようとするクセ。もちろん即効性はあるけれど、なぜその解決策が有効なのか、根本的な原因は何だったのか、そこまで掘り下げる前に“作業終了”にしてしまう。これでは自分の思考回路はまったく鍛えられません。
また、最近ではAIに質問すれば一瞬でコードや解説が出てくるので、“自分の頭で考える時間”そのものがどんどん減っているように思います。「なぜ?」を自分自身に問い続ける習慣を、意識的に持たないと本当に危ない時代だと感じています。
4. 「考え抜く力」がある人・ない人の違い
現場を見ていてよく思うのは、「考え抜く力」がある人は、とにかく“しつこい”です。いい意味で。すぐには答えが出なくても、もう少し情報を集めてみたり、紙に書き出して整理したり、色々な角度から問題を分解してみたり。こういう人は、時間はかかっても確実に自力で突破口を見つけていきます。
一方で、「考え抜く力」がない人は、壁にぶつかったときにすぐ他人を頼り、浅い理解のまま話を進めてしまいがちです。そして同じミスを何度も繰り返す。現場で信頼されるのは、決して“即答できる人”ではなく、「最後まで粘り強く考え抜ける人」だと、僕は思っています。
5. まとめ:考え抜くことを楽しめる人が成長する
結局のところ、「思考する体力」は筋トレと同じで、意識して使わないとどんどん衰えます。逆に言えば、毎日“考え抜く”クセをつければ、少しずつだけど確実に伸びていく能力です。
難しい課題に直面したとき、「うわ、めんどくさいな…」と感じるのはみんな同じ。でもそこで“もう一歩だけ深く考えてみる”、この積み重ねがエンジニアとしての成長に直結します。
僕自身、まだまだ“考え抜く力”を鍛えている最中ですが、この「思考する体力」を武器に、日々面倒な課題に立ち向かっていきたいと思っています。
あなたもぜひ、“考え抜くこと”をちょっと楽しんでみてください。それが、間違いなく未来の自分の大きな財産になるはずです。