前々から一度はPCを自作してみたいなと思いつつなかなか機会がなかったのですが、仕事でちょいちょいパーツ交換やらを最近することがありまして、今後もしかしたらGPUサーバ等をゼロから組む必要が出てくるかもしれなくなったので、今回練習も兼ねてPCを初めて自作してみました。
本格的な専用サーバやゲーミングPCなどを作りたい人はもう詳しい人かと思いますのでこの記事の内容は何も参考にならないと思いますが、「とりあえずPCを作るという経験をしてみたい」というような人向けに体験記を残しておきたいと思います。
ただひとつ事前に断っておきますが、私は普段から機械学習に関する業務に携わっておりメモリ容量やストレージ容量に関しては、通常のPCユーザよりもハイスペック寄りを普通と考えてしまうところがあるかなと思いますので、そこは用途に合わせて選択してもらえればと思います。
購入したもの一覧
まずは購入したケースやパーツ類の一覧です。ただし、ケース特有のパーツや少し失敗したので別のものを買い直したものがあるので、そこは分けてリストアップして簡単な選択理由のコメントを付与しておきたいと思います。なお、キーボードやマウス等のPC周辺パーツは今回は含みません。
必須なもの
- マザーボード
- ASUS PRIME B760M-A WIFI D4
- 今回は家庭のネットワーク環境の都合上、無線接続がどうしても必要だったためWiFi付きのものを選択
- CPU
- Intel CPU Core i3 14100
- 今回はPCをゼロから組むことが主な目的であったため、スペックは低めのCore i3とした
- PCケース
- Fractal Design Pop Mini Silent
- 今回はミニタワーくらいのサイズ感で考えていましたので、サイズ感と静音性・見た目で選択
- メモリ
- CFD Standard DDR4 3200 16GB×2枚
- 組んでみることだけが目的ならもう少し容量が少なくてもいいかなと思いますが、16GBだとちょっと寂しいので32GBを選択
- 電源
- 玄人志向 STANDARDシリーズ 80 PLUS GOLD認証 550W
- 諸々のパーツの消費電力から妥当な電源容量のものを選択
- ストレージ
- Western Digital 500GB WD Blue SN570
- OSを入れるSSDはNVMeにしたかったのでぼちぼちなところを選択
任意でいいもの
- GPU
- MSI GeForce RTX 3050 VENTUS 2X 6G OC
- スペックは低いが補助電源が不要だったので配線等々が楽そうだと思い選択
CPUはグラフィック出力があるものを選択したのでGPUはなくても大丈夫ですが、先程も述べた通り普段からGPUを使うことがあるため今回はGPUも使用できる状態にしようと思い購入しました。
- CPUクーラー
- Cooler Master Hyper 212 Black X Duo
- 見た目がかっこよかったので
CPUクーラーについてもPCを組むことが目的であればCPUに付属しているクーラーでもいいかなと思います。しかし、サイドフローのクーラーを何となく買ってみたかったので今回はCPUクーラーも別途購入することにしました。
購入したが失敗したもの(任意)
- HDD
- Seagate BarraCuda 3.5インチ 2TB HDD x 2
- 値段と容量でバランスが良さそうなところを選択(結果的に振動音で失敗したけど)
これも任意ではあるのですが、今回はHDDを2つ使ったRAIDを組もうと思ってHDDも追加で購入しました。しかし、回転数が7200rpmのものを購入してしまったため振動音が意外とうるさい状態でした。普段からうるさい環境下にPCを設置しておいたり、ヘビーに使用してファンが常に高速で周り続けるような使い方をしたりしないのであれば7200rpmのHDDは避けておいた方が良いかと思います。
なお、今回組んだPCとは別にBTOで以前購入したPCがありまして、そちらのHDDは5400rpmのものを搭載しているのですが、うるさいと思うようなレベルの音は一切感じられません。そのためSSDは高いのでHDDを選択したいという人は、特に読み書き速度にこだわらないのであれば5400rpm程度のHDDを購入した方がよいかと思います。
買い直したもの(任意)
- 2.5 inch SSD
上記の通りHDDがうるさかったので想定外の出費ではありますがSSDを購入しました。できれば1~2TBくらいを2個欲しかったのですが、想定外の出費であることと、今回はPCを組むことやRAIDを組んだりすることが主な目的であったため500GBで妥協しました。
場合により必要になるもの
- ファン延長ケーブル
- ファン電源延長ケーブル
- ファンの電源までケーブルが届かない場合に必要
マザーボード上のファンの電源位置と、ケースファンの電源ケーブルの長さや配線の都合などで、ケーブルが電源までとどかないことがときどきありますので、その場合はこのような延長ケーブルが必要になります。なお、3つや4つに分岐するような延長ケーブルもあるので、電源の数とファンの数、配線の取り回しを考慮して適切なものを購入しましょう。
ケース特有の購入物
- USB Type-Cアクセサリ
こちらは今回選択したPCケース特有のものになりますので、他のケースを選択される場合は不要です。
その他
- 工具類(ドライバー)
- このような感じのドライバーセットがあれば安心かと思います
- 結束バンド
- こんな感じのセット
- PCケース等に少し付いていたりすることもありますが、配線のやり直しを何回もしたりすると結構消費してしまうので購入しておけばいいかなと思います
- 追加のケースファン
- 普通はケースにファンが付いていることも多いと思いますので、とりあえずはそれだけでいいかなと思います(あとで増設したくなったら購入しましょう)
- PCスタンド
- キャスター付きスタンド
- 埃の関係で床から少し離しておきたいときや、移動を考慮して必要ならキャスター付きのスタンドがあると便利かなと思います
パーツ選択時の注意点
初めてPCを自作してみようとする方は、どのような注意点があるのか分からなくて困ることが多いかなと思います。特に「組み合わせが間違っていて購入したパーツが使えない」というようなことは避けたいのではないかなと思います。
そこで、すべてを厳密に網羅出来ているかは若干自信はありませんが、私がパーツを選択した際に注意したことをまとめておきたいと思います。
マザーボードの規格とPCケースのサイズ
マザーボードにはATX、micro-ATX等々のサイズがあります。またPCケースは対応しているマザーボードのサイズが決まっています。そのためそのサイズを間違ってしまうとケースにマザーボードが取り付けられないという自体が発生しますので注意しましょう。
今回はミニタワーサイズのPCケースにしたかったため、まずはPCケースを選択し、そのケースが対応しているmicro-ATXのマザーボードを選択するというようにして決めました。
マザーボードとCPUの組み合わせ
まずCPUがintelなのかAMDなのかで対応するマザーボードが異なりますので、そこは間違えないようにしましょう。
そして、CPUソケットにも注意が必要です。例えば先程のマザーボードASUS PRIME B760M-A WIFI D4の場合は、対応しているCPUソケットはLGA1700になりますので、それに対応したCPUしか使用することができません。
CPUのグラフィック出力有無
CPUにはグラフィック出力(要するに画面出力)ができるものと出来ないものがあります。今回はGPUも購入することにしたのでCPUのグラフィック出力は不要と言えば不要だったのですが、GPU無しで使用する可能性も今後あり得るためグラフィック出力ありのCPUを選択しました。
マザーボードとCPUクーラーの組み合わせ
マザーボードとCPUの組み合わせと同様に、CPUクーラーもCPUソケットに対応している必要がありますので注意してください。先程のCooler Master Hyper 212 Black X Duoの場合だとLGA1700に対応しているクーラーを選択しています。
マザーボードとメモリの組み合わせ
メモリにはDDR4やDDR5という規格の違いがありますので、それがマザーボードに対応していることを確認してください。
また、メモリのクロック数(先程のメモリだと3200MHz)や、最大メモリ容量がマザーボードに対応している必要があります。これは通常はメーカーのサイト等からダウンロードできるマザーボードのマニュアルに記載がありますのでそれを確認してください。例えば先程のASUS PRIME B760M-A WIFI D4の場合はこのようにマニュアルが公開されています(P.7の対応メモリーの項目を見ると最大容量やクロック数の記載があります)
電源容量
各パーツの消費電力の総和が、電源容量の50~60%程度となるように電源を選択すれば良いかと思います。例えば消費電力の総和が300W程度であれば500~600W程度の電源であれば大丈夫かと思います。
また性能に関してはまぁ80PLUSのGOLD認証を選択しておけばハズレはないかと思います。もう少し電源効率が悪くなっても良いので安く抑えたいというような場合はもう少し低スペックのものでも良いかと思います。
サイズ感
CPUクーラーとGPUに関してはそもそもケースが小さいと物理的に取り付けられなかったり、PCケースのサイドパネルが閉められないといった問題が発生することがあります。そうなるとパーツの書い直しだったり、サイドパネルを閉められない状態で使用しないといけないといったことになりますので注意するようにしてください。
通常はケースのマニュアル等を調べるとCPUクーラーの限界の高さや、GPUの最大サイズが書かれているかなと思います。
事前に調べておくといいこと
今回PCを実際に組み立てていく上で若干戸惑ったところがいくつかありましたので、事前に調べておいたら良いかなと思う点を列挙しておきます。
使用する電源ケーブル
今回、組み立てを進めていく中で一番戸惑ったのが電源ケーブルの接続でした。電源(今回は玄人志向 STANDARDシリーズ 80 PLUS GOLD認証 550W)を開封したらたくさんいろんなケーブルが入っていたのですが、説明書らしい説明書が入っていなくて「ケーブルがたくさんあるけどどれをつかったらいいんだ?」とか「必要なものと不要なものはどれだ?」、「どのケーブルをどこに繋いだらいいんだ?」といったことが最初はよく分かりませんでした。
実際に、GPUの電源は必要か、マザーボードにCPUの補助電源を挿すところがあるかといったことで配線が変わってくるので、これは各自のパーツに合わせて確認するしか無いかと思います。
ただ、ざっくりと以下のあたりを考慮して確認しておけば概ね大丈夫何じゃないかなと思います。
- 主電源
- CPU補助電源
- SATA電源
- GPU補助電源
電源の上下の向き
電源は上下どちらの向きにも付けることができますが、電源の冷却ファンが上向き(PCケース内の空気を吸い込む)になるか下向き(床側から外部の空気を吸い込む)が変わってきて、冷却性能や埃の吸い込み具合に影響してくるので事前にどちらにするか決めておきましょう。
一応、上下どちらもメリット・デメリットがあるようですので、自分の使い方やPC設置環境似合わせて決めれば良いかと思います。
NVMe SSDの実装
これは私も組み立てを進めていく上でマザーボードのマニュアルを見て気付いたのですが、NVMe SSDには片面実装/両面実装というものがあります。これについては調べてもイマイチ分かりやすい記事が見つからなかったので詳細は皆さんでちゃんと調べてほしいのですが、要するに片面だけに回路が実装されているか両面に実装されているかの違いかと思います。
実際に先程のNVMe SSD(Western Digital 500GB WD Blue SN570)を見てみると、片面には回路が実装されていてデコボコしているのに対して、裏側っぽい方はツルッとしていて平らになっている様子が見て取れました。そのためこれについては片面実装なのかなと思います。
片面実装/両面実装については、NVMe SSDを取り付けるときにゴムパッドをマザーボード側に貼るか貼らないかという点が変わってきますので事前に調べておくといいかなと思います。字面だけだと何のことか分かりづらいと思いますが、マザーボードのNVMe SSD取り付けのところを見ていただくと、ゴムパッドが必要なものについては記載されていると思います。
その他忘れがちなこと
- SATAの接続
- HDDや2.5inch SSDを使用する場合は、SATAの電源だけではなくマザーボードとHDD/SSDをSATAケーブルで接続するのを忘れないようにしましょう
- NVMe SSDのヒートシンクの有無
- NVMe SSDは基本的にヒートシンクが必要になりますので、マザーボードにヒートシンクが付いているかを確認しておきましょう
- もしマザーボードにヒートシンクが付いていなければ、ヒートシンク付きのものを購入する方が良いと思います
まとめ
今回、初めてPCを自作してみて、パーツ選びから組み立てまで注意することや調べることが結構あることが分かったので要点を忘れないように記事にしておくことにしました。特にパーツの互換性や規格の確認、電源容量の計算などは、事前にちゃんと調べておかないと不要な出費が発生してしまうので注意してください。また、HDDの振動音の問題など、予期せぬトラブルもありましたが、この辺になってくると正直実際に失敗してみないと分からないものかなと思いますので、初めてである以上何かしらの失敗や追加の出費はあるかもしれないと想定しておいた方がよいかもしれません。