今の企業に転職する前に経験してきた2社は、世間の定義でいうところの所謂大手企業に分類される企業でした。
ただ、人生をSCRAP & BUILDだ!とか本当に会社に行きたくなくなった日みたいなすったもんだが色々あって、勢いで辞めた結果現在のベンチャー企業に転職するということになりました。
最初はベンチャー企業で働くということに対して「未知の領域」というようなことで知らないことによる不安もあったはあったのですが、ベンチャーで働き始めてみて色々と大手企業とのギャップを感じるところもありました。
そろそろ3ヶ月経って会社にも慣れてきたというところで、そのギャップについてつらつらと思いつくままに書いていこうかなと思います。
ちなみに、ベンチャーといっても本当にごく少数の企業もあれば、メガベンチャーと呼ばれるような大きなベンチャーもありますし、企業によってもその文化・風習は大きく異なるところもあると思いますので、ベンチャーに就職・転職しようかなと実際に考えている場合は、あくまでもひとつの参考情報程度として扱ってください。
採用に関わるようになった
大手企業にいる場合は、技術職でいると採用活動にかかわる機会というのはなかなかないのではないかと思います。
もちろん、リクルータや面接に来ている面接者とフランクな会話をするようなケースはあるかと思いますが、決定権を持って採用に関わるということはなかなかないのではないかと思います。
私も過去2社においては当然そうだったのですが、今の企業に就職してからは主に面接官として採用活動にずっと携わっています。
中でも驚いたのは、入社して1週間後にはもう初めての面接を迎えることになりました。
面接をする側の経験なんてまったくなかったので、何を聞くべきなのかもよく分からないまま(会社のことなんてむしろこっちが教えて欲しいんだけどなぁ…)なんてことを内心では思いながら面接をすることになる訳です。
ただ、曲がりなりにも面接の数をこなしてくることで何となく分かって法則的なものがあるような気がします。
ダメな奴は本当にダメ
今まではやっぱり大手にいたこともあった、自分の周囲にいた人というのは世間の平均から言うとまともな人が多かったです。
というよりも、多かったんだということが今になって実感出来てきたというのが正しい表現ではありますが。
それで何がダメかというと単純に「日本語が通じねぇ」ということです。
もちろん、面接に来ている人は日本人で日本語ネイティブです。そして表面上は日本語を話しているんですけど、なんでかイマイチ会話がかみ合わないんですよね。
まぁそんな違和感を覚えつつも人手が足りないし、技術的には最低限ことはできているようなので、面接では一応OKを出して入社して頂くことになった訳ですが…。
想像がつく通り、業務が始まってからも会話が成り立たないし、案件の目的とかを何回説明しても頓珍漢な回答や作業ばかりするし、チャットでやり取りするときも相手の日本語が崩壊しているせいで言っていることの意味が分からないので会話の最初は毎回、
「○○はXXという意味ですか?」
と、こちらが相手の言いたいことを解読して、正しい日本語に翻訳して確認するところから始めないといけない訳ですよ。
ときどきなら別にいいというか、むしろ認識の齟齬が無いようにするための重要な作業だと思うんですけど、さすがに毎回こうだとこっちもかなりイライラします。
その根本的なところを考えると、やっぱり何だかんだ「学歴って大事なんだな」というところに行きつきました。
私は採用するときに出身高校・大学の両方を異なる目的で重視しているんですけど、その日本語がおかしい人はやっぱり高校も大学もイマイチなところだったんですよね。
特に高校に関しては「マジかー…」と言いたくなるくらいには程度の低い高校でした。
IT業界にいると「学歴とスキルには相関なんてない」という意見もよく聞くかと思います。それに関しては私もある程度が同意します。
「ある程度」といったのは、直接的なITスキル以外の面では正直アホな奴は何をやらせてもアホやな、という状況になっているからですね。
例えば、冒頭に上げたようにプロジェクトの目的を理解できない、全体像やゴールを把握できない、タスクの内容的な優先度も時間的な優先度も把握できない、論理的な会話ができない、指示が理解できないなどなど腐るほど問題は上げられます。
まぁ目的やゴールを理解できないに関しては何回も説明したり、こっちで明確なタスクを与えてあげれば回避できる問題ではあるんですが、意外と面倒なのが優先度や期限の重要性を把握できないというところです。
仕事である以上基本的には納期や期限というものがあると思います。もちろん残業を推奨をするつもりは全くありませんが、仕事である以上時と場合によっては期限に間に合わせるための頑張りどころというのがあると思うのですが、ダメな人はいつものらりくらりと仕事をして毎日定時to定時ですぐに帰ってしまってしまう訳です。
挙句の果てには自分がのろのろやっているのに「コレ間に合いませんよ」とか言い出されるとさすがにこっちもイラっとしてしまう次第です。
愚痴は超一流
まぁそんなダメダメ人間が少なくないのがベンチャーかなと思います。
そう考えると大手企業の選考プロセスというのは何だかんだしっかりしていて、変な人が紛れ込んでくる確率はかなり低くなっているんだなということが実感できます。
そんで。
まぁ仕事ができないだけならまだいいんですけど(よくないけど)、そんな奴に限って口だけは達者な訳ですよ。
一番アホやろと思ったのは、
「私に来る相談って簡単なものしか来ないんですよねぇ」
とか
「そんな感じなのでイマイチ信用されている感じがしないんですよねぇ」
とか言い出したときです。
こちらとしては、入社してすぐで社内での実績は皆無だし、会話も成り立っていないし、そもそも勉強していたとはいえ業界未経験なんだし、なんでそんな無条件に信用してもらえると思ってんのって話ですよ。
おまけに、打ち合わせでは何も発言しないし、話を振られても他の人の意見をそのまま(自分の意見かのように)言うだけだし。
挙句の果てには客先での打ち合わせで寝始める始末だし。
そんな状態で何故信じてもらえることが出来るのかって話ですよ。
という感じでほぼ愚痴を書き連ねるだけになってしまいましたけど、こんな感じの人間がベンチャーには結構いるということがかなりのギャップでした。
ここまで酷い人がそもそも存在しているということすら認識していなかったので、このギャップはかなりショッキングでしたし、その後は当然採用面接での合否判断もかなり慎重にするようになりました。
自分を信じるしかないようになった
以前、自分を肯定できない人間の生きづらさ辺りの記事で書いたことですけど、私はこれまでは基本的に自己肯定感の低い(というか無い)人間でした。
大手企業では、俗にいうハンコリレー的なものがあって、基本的に自分が責任を取って何かを決めるということは少ないのではないかなと思います。もしかしたら私がそうだっただけかもしれませんが。
ただ、今の会社に入ってからは、技術に関するものはほぼすべて自分で決めていかないといけない状況になりました。
使用する技術の選択、納期、予算、詳細のスケジュールなどなど、自分が「これで」といったらそれがもう最終形になってしまう訳です。
そのため、前職までの会社にいたときに比べるととにかく勉強するようになって、自分の選択の妥当性を何度も自問自答して、知見がないものはある人に聞いてさらに勉強してちゃんと理解できるようにして…という感じで、今まで以上に本気で仕事に取り組むようになったように思います。
そして最終的には自分でGOを出すしかないので、自分を信じるようになりました。というよりも信じざるを得ないようになったというのが正しい表現ですが。
ただ、自分で真剣に考えて決めたことに沿って仕事を進めるというのは、思っていた以上に面白いことでもあるということが今になって実感できるようになってきました。
ベンチャーに向いている人・向かない人
これについては世間では色々言われているものですし、結局は人によって意見が異なるので、本人がベンチャー企業に飛び込んで体感してみるしかないというところが正しいんだろうなとは思います。
ただ、自分なりに向き不向きがあるんだろうなと思うところがありますので、それについて私見を述べたいと思います。
私が思うところのベンチャーへの向き不向きは一言でいうと「自分で決められる人かどうか」というところなんじゃないかなと思います。
上述したように、ベンチャーでは「自分で責任を取って物事を決めないといけない」というケースがかなり多くなります。というよりもほぼすべてがそれです。
そのため、自分で判断できずに常に人に判断してもらって、自分は歯車のごとく作業を行うだけがいいというタイプの人はまずもってベンチャーには向かないと思います。
また、本人だけの問題だけでもないというところがさらに大きな問題になります。
当然、ベンチャーに入ると周囲も「自分で決めていく人」がほぼすべてになります。そのため、他の人に決めてもらおうと相談すると、相談された方も「そんなの自分で判断しろよ」となってストレスがかなり溜まっていくことになります。
それが溜まり溜まるとチームメンバー間の関係が悪くなったり、職場環境そのものまで波及してしまうことになって、場合によっては退職者が続くなんてことにもつながりかねません。
そんな訳でベンチャーに行こうか悩んでいる人は「自分で判断を下せる人間かどうか」という軸でもその適否を考えてみるのは良いのかなと思います。
やっぱり頑張らないといけない
世間ではブラックだホワイトだなんだと叫ばれるようになってきています。私自身もブラックな働き方には反対ですし、推奨するつもりもまったくありません。
ただそれでもやっぱり事業が成立している大手企業とは違って、ベンチャー企業では業務時間内外問わず積極的に勉強してキャッチアップしていくことはかなり必要なんじゃないかなと思います。
スキルが無いこと自体は(よくはないけど)責めるつもりは特にないですが、スキルを身に着けていこうという姿勢が全く見えない場合は、かなり厳しく糾弾されても仕方ないのかなと思います。
ベンチャーではひとりの人がやらないといけない仕事の範囲がどうしても広くなってしまいますので、「これはやったことないから」とか「そういうことをやるつもりでこの会社に入った訳じゃないから」というようなことを言い出すとすぐに居場所はなくなると思います。
私自身もそういう人と一緒に仕事をしているのですが、正直なところ「さっさと辞めてくれないかな」と思っています。
もっと率直に言うと「さっさと消えてくれ」と思っています。
そういう訳なので、新しい技術・知識をキャッチアップしていこうとする姿勢すら見せられない人はまず間違いなくベンチャーを目指すのは辞めておいた方が良いと思います。
まとめ
という訳で半分以上はただの愚痴を並べつつ、ベンチャー企業に転職して3ヶ月経った上でのベンチャー企業と大手企業のギャップについてつらつらと書いてきました。
ざっくりまとめると(大手企業経験者からの感覚ですが)、
- 思った以上に怠惰な人間は多い
- 日本語を使うけど日本語が通じない人間が意外と多い
- 主体性はやっぱりかなり必要
- ブラックな働き方を推奨する訳ではないけど、それでもやっぱり頑張りどころというのはある
- 勉強し続けていく姿勢は大事
というようなところがベンチャー企業に入社して3ヶ月程度で感じているギャップかなーと思いますね。
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